Ein Deutshes Requiem op.45

(プログラムノートより)

ブラームス/ドイツ・レクイエム

 『ドイツ・レクイエム』は、ドイツ語によるレクイエムである。レクイエムというのは本来、カトリック教会の典礼「死者のためのミサ」に用いられる音楽で、通常ラテン語のテキストに付曲される。『ドイツ・レクイエム』はカトリック教会で歌われるためのものではなく音楽会用の作品であるが、内容的にレクイエム以外のなにものでもない。創造主の力、人生の無常さ、審判の恐怖、死への運命,慰め,残された者の悲しみ、そして復活の希望を取り扱い、通常のラテン語のレクイエムに近いものとなっている。なおテキストはルター訳の1537年版の聖書からとられている。

 この曲の成立の動機はいろいろと論じられているが、1856年夏のシューマンの死を受けたブラームスの悲しみ、死者への冥福の祈りがこの作品の成立動機のひとつとなったともいわれている。この作品の完成には約10年間かかっている。全7曲のうち第2曲が1859年に、母の死の

翌年の1866年に第5曲を除く楽章が、残る第5曲は1868年5月に作曲されている。

 初演は1867年12月1日にウィーン楽友協会の音楽会でヘルペックの指揮のもとに最初の3曲が、1868年の聖金曜日の4月10日にブレーメンにおいて第5曲をのぞく全6曲が作曲家自身の指揮のもと演奏されている。全7曲の初演は1869年2月18日にライプツィヒのゲヴァントハウスでライネッケの指揮のもと行われている。