Miserere

アレグリ/ミゼレレ(ラター版)

神よ、御慈しみを持って私を憐れんでください


(Progam noteより)

 グレゴリオ・アレグリ(1582-1652)は、17世紀前半の初期バロック時代にローマで活躍した作曲家である。『ミゼレレ』は、アレグリの作品の中で特に名高いものである。詩編第50編を歌詞とするこの曲は、5声合唱とグレゴリオ聖歌と4声合唱が順に詩編の歌詞を歌ってゆき、最後に9声合唱となる形で書かれたもので、教皇庁システィナ礼拝堂の秘曲として歌い継がれていった。

 また、この曲はモーツァルトにまつわるエピソードでよく知られている。多くの人に深い感銘を与えてきたこの作品は当初から門外不出の秘曲として知られていたが、ローマを訪問した14歳のモーツァルトが、到着早々にこの秘曲を聞きに出かけ、宿に戻ると早速、記憶を頼りに全曲をほぼ完全に書き写してしまったと伝えられている。