FAURE Requiem

①Introitus et Kyire(入祭唱とキリエ)

②Offertorium(奉納唱)

③Sanctus(聖なるかな)

④Pie Jesu(慈悲深いイエスよ)

 ソプラノ:昆野 智佳子

⑤Agnus Dei(神の小羊)

⑥Libera me(我を解き放ってください)

 バリトン:今田 陽次

⑦In Paradisum(楽園に)


管弦楽:Hiroshima Kantorei Kammerorchester

ホルン:山下真知子、佐々田裕美

ヴァイオリン:練木 翔

ヴィオラⅠ:増田喜代、永井啓子

ヴィオラⅡ:Peter Kovac、島田玲

チェロⅠ:末永幸子、阿曽沼裕司

チェロⅡ:宮本隆一、吉長孝穂

コントラバス:飛田勇治

ティンパニー:小川裕雅

ハープ:宮内くにえ


(program noteより)

 フランスの作曲家ガブリエル・フォーレ(1845-1924)は南フランスでの幼児期から優れた音楽的才能を示していたことから、9歳から授業料免除の特典を受けて音楽学校で学んでいる。在学中から作曲を始め、卒業後はパリのマドレーヌ教会の首席オルガニストなどを務め、パリ音楽院教授を経て、1905年には同院の院長となっている。

 フォーレが生まれた南フランスは、古来カトリックの伝統が根強い地方だった。その宗教性はほとんど作曲家の血のうちに溶け込んでいると言えるほどで、長じて作曲活動の一方で長く教会オルガニストを務めたことからも察せられる。フォーレの宗教作品中で最も規模の大きな「レクイエム」作品48も、中世教会音楽の伝統に沿ったものとなっている。しかし、フォーレはやはり近代の作曲家であり、約束事を自分の音楽のうちに充分に取り込んだうえで、まことに表情の美しい洗練されたレクイエムを書いている。あらゆるレクイエムの中で感覚的に最高に磨き上げられた作品と言えるが、その洗練の極みの裏には無論、深い祈念の情が込められている。

 レクイエム作曲の直接の契機となったのは1885年7月に父を亡くしたことであった。しかし一層強く作曲家を揺り動かしたのは1887年12月に母が他界したこと、と言われている。

 初演は当初、5つの楽章が1888年1月16日にマドレーヌ教会で行われ、現在の形の全曲初演は1892年にサン=ジュルヴェ教会で行われた。その後1900年にアメルしゃからの出版の際、大オーケストラ編成に改作されている。本日はラター校訂による1893年の第2稿で演奏する。